視点C — 転職回数という第三軸

転職メディアは「年収」「業種」「年代」で語る。しかし何回目の転職かという軸はほぼ空白地帯だ。 「1回目の転職」と「3回目以降の転職」では、交渉経験・市場価値の見せ方・企業側の評価が根本的に異なる。

調査設計中

転職回数別の賃金増加データは 「就業形態の多様化に関する総合実態調査」(厚生労働省・5年ごと実施) に含まれる。最新版(2024年調査)の個票データ分析を予定している。 以下は現時点で利用可能なデータから示せる暫定的な考察。

現時点で言えること — 年代別月収の推移から

出典: 厚生労働省 賃金構造基本統計調査(所定内給与額、男女計・加重平均)

20代平均月収 30代平均月収 40代平均月収 20代→40代の伸び
2010年 22万円 28万円 35万円 59%増
2011年 22万円 28万円 35万円 59%増
2012年 22万円 28万円 35万円 59%増
2013年 22万円 28万円 34万円 55%増
2014年 22万円 28万円 34万円 55%増
2015年 22万円 28万円 34万円 55%増
2016年 22万円 29万円 34万円 55%増
2017年 23万円 29万円 34万円 48%増
2018年 23万円 29万円 34万円 48%増
2019年 23万円 29万円 34万円 48%増
2020年 23万円 29万円 34万円 48%増
2021年 23万円 29万円 34万円 48%増
2022年 24万円 30万円 34万円 42%増
2023年 ★ 24万円 30万円 35万円 46%増

20代から40代への平均月収上昇は46%(2023年)。 ただしこれは年功序列による自然増・転職増加・スキルアップの複合効果であり、 転職回数の寄与分を分離できないのが現時点の限界だ。

転職回数分析のフレームワーク(設計中)

転職回数 仮説(賃金への影響) 背景にある論理
0回(未転職) 年功給で安定推移。市場価値の未検証リスク 同一企業内評価に依存。外部相場との乖離が生じやすい
1回目 賃金増加率が最も高い傾向(仮説) 市場未経験ゆえの期待プレミアムと初回交渉の緊張感が重なる
2〜3回目 増加率は安定。交渉慣れで下限防衛が上手くなる 転職経験値が市場価値の適正評価に繋がる
4回目以降 企業側に「定着リスク」と判断される可能性 ポジティブな評価(スキルの多様性)とネガティブな評価(転職癖)が拮抗

分析ロードマップ

  1. 「就業形態の多様化に関する総合実態調査」の転職回数別賃金データを取得
  2. 賃金構造基本統計調査の年代・職種データとクロス集計
  3. 転職回数 × 年代 × 業種の3軸マトリクスを作成
  4. 「転職1回目の最適タイミング」を年代別に試算

データ取得後、本ページを定量分析ページに更新予定。 独自アンケート(視点E)では「転職回数と満足度の主観的関係」も合わせて計測する。

限界と留保

  • 上表の仮説は先行研究と一般的な採用実務の知見に基づく推論であり、現時点でデータで検証されていない。
  • 「就業形態の多様化に関する総合実態調査」は5年に1度の実施であり、最新データが限られる。
  • 「転職回数」と「賃金」の関係はセクター・職種・年代で大きく異なる可能性がある。